おんなしゃちょう何某の雑記〜2024.3リターンズ〜

おんなしゃちょうは 2024/3 出所しました。

拘置所で知る用語

拘置所内で初めて耳にしたり目にする言葉は、とても多かった。

誰も教えてくれないし、聞いて認識する言葉なんて文字から推測もできないから、当初はかなり戸惑ったり苦労した。

 

その一例をご紹介したいと思います。

随時更新します。

 

未決者

文字通り、まだ決まっていない人。被疑者、被告人。被疑者は、容疑者のこと。死刑囚は、いまこの時点では刑が執行されていないということで、同じ未決者に入る。

既決者

決まった人。受刑者。

確定者

死刑が確定した人。

 

調べ

検事による取り調べ。

特捜部逮捕で拘置所に勾留されると、当初から警察官ではなく特捜部の検事が取り調べを行う。検事が付近の宿泊施設に泊まり込み、連日拘置所へやってきて朝から晩まで調室というところで行われる。

現在は、可視化され、ビデオ録画と録音がされている。

私がいた時、同じフロアで取調べを受けているのは私だけだったようだ。

 

報知器

職員に用事がある時に、居室から押してその旨を知らせるボタン。部屋から声を出して呼んだりすると怒られる。

部屋に備え付けの「所内生活の心得」なるしおりには、報知器を押して静かに座って待つようにと記されてある。タイミングが悪いと、10分15分待たされる時がある。

他に、10時と15時の「給湯報知器、開缶報知器」という声掛けがある。すなわち、給湯を希望する人は報知器を押せ、缶詰を開けて欲しい人は報知器を押せ、の意味。土日祝日の15時は何故か開缶報知器のみ。

 

点検

朝夕の点呼。廊下から「点検用意」の号令がかかったら、扉の正面に向かって正座で座り、順番に職員が扉の前にやってきたら、呼称番号を職員が聞こえる大きな声で述べる。

朝の点検から夕刻点検までが活動時間。因みに夕刻点検は、午後4時40分。

私は5時を過ぎて、汚れてしまった衣類を洗ったことがあったが、廊下から各部屋の様子を巡回して見回っていた職員から、大きな声で怒られた。

 

女区

女性の収容者がいる区画。おそらく拘置所では2階が該当。私はB2。2階のB棟。A棟もあった。B棟は単独室のみで、それが廊下を挟んでズラーっと両側に並び、60〜70室ある。ドアに番号が記されている。

A棟には複数名が入る共同室があるのかも知れない。しおりには、単独室と共同室の明記があったから。

 

男区

それ以外が男性収容者の区画。3階から12階。高層階は死刑囚がいるらしい。

因みに女性死刑囚は他の女性収容者と同じ2階。

 

午睡

昼寝。未決者はすることがないので、12:10から14:45まで午睡が認められている。頭は必ず扉に向けた体勢で寝ること、としおりには書いてあるのに、それを忘れるのか守れない人がいるらしく、職員に怒られている声をたまに聞く。

 

横臥

横になること。ゴロンとすること。

午後5時から就寝時間の9時まで、布団を敷いて横臥することが出来る、と、しおりにある。

 

自弁

自費で調達すること。自弁物品とは、自費で購入したり調達した物品。

 

差し入れ

外部の人より、持参若しくは郵送、拘置所内の売店にて購入した物の、収容者への差し入れが可能。

衣類、現金、書籍ら食べ物や飲み物、寝具など

しおりに、細かく分類されており、差し入れが売店購入の物のみとしているものもある。

差し入れは、収容者にとって、かなり重要。

いずれ別記します。

 

先生

職員、刑務官は、拘置所内受刑者からこう呼ばれていた。たまに、未決者で「先生、これは〜」と当然の如く呼んでいる姿が見られたが、おそらく再犯で出戻り。

 

経理さん

職員が特定の受刑者を呼ぶ呼び名。

どうやら経理担当という作業があるらしい。配膳や拘置所内の清掃、洗濯、購入物の配布を行っていた。

 

呼称番号

拘置所内で、名前の代わりに付けられた一人一人の番号。

拘置所に来て、あなたは○○番ねと口頭で教えてもらい、以後は番号で呼ばれることになる。

私は、8番と20番だった。

なぜ二つあるのかというと、収容1ヶ月目に体調を激しく崩し、過去に通院していた大学病院での精密検査を認められて、4時間だけ勾留執行停止の決定により、外出をしたから。

戻ってきたら、新しい番号を割り振られた。

受刑者は3桁らしい。死刑囚は末尾がゼロという噂を聞く。

 

願箋

何か特別にお願いをしたいことがある時は、願箋という用紙にその旨を書いて職員に願い出る必要があった。

私の場合は、体調が悪く、拘置所内の医務室での医師の診察を希望した際に願箋を書いた。

 

官本

拘置所保有している書籍のこと。

週二回、官本リストから二冊を貸与してもらうことができる。漫画、小説の他、拘置所ならではの薬物依存に関する本がある。

 

官物

生活消耗品で職員から支給や貸与されるもの。

プラスチック製の食器、コップ、歯ブラシ、歯磨き粉、石鹸、洗濯石鹸、ティッシュペーパー、布巾など

自弁したら、官物は返却する。

 

願い事

毎朝、職員が各居室を順番に回り、購入物の受付、医務の申し込み(准看護師が巡回にくる)、廃棄や宅下げなどの用聞きをすること。

特別な相談事やお願い事以外のことは、この毎朝の願い事の時に申し出る。

職員の中でおそらく役職者、民間でいうマネージャークラスの担当する仕事のようだ。

 

宅下げ 

自分の所有する荷物や物品を外部の人に渡すこと。郵送と、拘置所窓口で渡すことができる。

季節が終わった衣類、現金や貴重品など。

窓口の宅下げは概ね面会の際に合わせて行われることが多い。面会の際に職員から「宅下げ、ある?」と聞かれる。

私は、面会者に特別に買って来てもらいたいものがあった時に、予め次回の面会日を聞いて、それに合わせて購入代金の窓口宅下げを申請しておいた。そして面会時に、職員に面会者に現金の宅下げをお願いします、と言えば良い。

 

領置品、領置金

自分の持ち物で、居室への持ち込みを認められなかったもの。預かり品。

領置金は、現金預かり分のこと。現金の差し入れがあると、その分領置金が増える。領置金がないと、居室から物品の購入ができない。

 

小菅新聞?小菅ニュース?小菅便り?

定期発行の所内配布物。

私はてっきり、「春の町内会便り」のようなホンワカした身近なお知らせ発行物的なものを想像したのだが、外部の拘置所監視委員会が発行する、目安箱に入れられた収容者からの苦情に拘置所側が答えるという内容を纒めたものだった。

あとは、監視委員会の所内視察録も。

楽しくない内容。私は、掲載されているような苦情内容を経験したことがない。

 

拘置所というのは世間からは閉ざされた空間であるため、力関係で悲劇が起きないようにこのような第三者の目を設置するのだと思う。