彼女と私との出会いは、彼女がエステティシャン、私がその客という関係からだったと記憶している。
その頃の私は毎月末前後の5日から1週間くらいが東京滞在。東京の会社の支払い処理や書類の手続きをその滞在期間中に一ヶ月分をまとめて行っていた。
それらを終えると東京の会社はスタッフに任せて居住地のクアラルンプールへ戻る。
KLを中心にしながら法人を有するシンガポール、香港等を周り、時折ヨーロッパやアメリカの美容ヘルスケア関連の展示会へ向かうという生活をしていた。
ある人から聞いたことがある。
人は、距離で疲弊する、と。
人間の足で移動出来ないような距離を移動し始めると心身を蝕むようになる、と。
私は自分のビジネススタイルに自信を持っていたし、
ライフスタイルについても満足をしていた。
私の生き方に女の癖にと眉を顰める人もいたが、その一方であなたのような生き方がしたいと目を輝かせてくれる若者がいてくれたりして、嬉しく励みになったのを覚えている。
私の存在が誰かの生き方に希望を与えられているのかも知れない、
私は私だけの人生ではなく誰かの夢も背負っているのだと誇りにすら思っていた。
そしてその頃から少しづつ、
私はまず身体の不調から表面化していったのである。