私は2018年6月に保釈をされてからTwitterとブログを 始めた。
裁判との兼ね合いで匿名ではあったが、今自分の身に起き ていること、これまで経験したこと、私が考えることをどこかに記 録として残すことで誰かの何かの役に立ちたいという思いからだっ た。
それまで必死に生きてきた自分自身の根っこの部分までも取り調べ や裁判で散々に否定され、私は自分の存在意味を失いかけていた。
これでもかというくらい要らない人間だと言われ続け、本当にそうかも しれないと思った。でもそうじゃない、必要とされたいと思う気持 ちもほんの少しだけ残っていた。
結審は2019年3月。
年末12月に血を吐くかと思うほどの7時間を超える尋問を終え、 年を明けた。
どんな結果になろうとも、もはや悔いなしと振り切って、少しずつ 身辺整理を始めていたそんなある日。
忘れもしない寒い日だった。日比谷で食事をするため久しぶりに有 楽町駅に出た私の目に衝撃的なニュースが飛び込んできた。 それは青汁王子こと三崎さんの、特捜部による逮捕を知らせるもの だった。私が逮捕されてちょうど1年後である。
足が動かなくなった。
せわしなく駅に向かう人々の流れの中でただ1人うつむいて立ちす くんでいた。
目から涙がこぼれ肩がガクガク震えていた。行き交う人の声もネオ ンサインの明かりも耳に入らないし目に映らない。目の前のが真っ 白になり私の周りだけ時が止まってしまったようだった。
彼とは面識は無い。メディアで何度か目にしたことがある程度だっ たのに、あの時の私は信じられないほど動揺していた。
1年前の自分の姿を彼に重ね合わせていた。
どの店で何を食べ、どんな話をしたのか全く記憶がない。
どう帰ってきたかもわからないが、 気がつけば家の門の前で立ち尽くしていた。
私はじっとそれに堪えていた。 そして外に出て寒い青空を見上げては会ったこともない青汁王子に ただとにかく頑張れと手を合わせてメッセージを送り続けていた。
その後彼は保釈された。罪状は認めるということだった。
罪状を争う私と進んでいく道は違ったが、 正面から自分の本心と向き合った者同士私は彼を1人の人間として称えたい。
そして3月の結審を経て私は収監となる。
先日、残してある法人の事務処理について相談をするために裁判時の 主任弁護士と面会をした。話が一段落した後に「青汁王子さんから連絡が来た」と聞かされる。
本当に驚いた。
「むしろ自分のことを! 自分に気持ちを向けて!」
と思っていたのだが、 今思えば彼も私と同様「誰かの何かの役に立ちたい」 という気持ちだったのかもしれない。
弁護士にはとりあえず三崎さんが読んでいる本を読んでみたいので 、 読み終わった本を差し入れていただけないかと伝えてほしいと答え た。
彼も一経営者、起業家として実績を出し私と同様に国税局の査察を得て 特捜部逮捕となっている。
私は捜査のあり方に物申したいことがいくつもあるが、彼もきっ と同じだろう(どうやら既にブチまけているらしいが…)。